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風紋記事

2014/03/27

 市の総務部長を2年間務めた、道からの派遣職員・井馬千里さんが3月いっぱいで道に戻る。市役所の部長職のトップを、道庁からやってきた職員が務めるというのは異例のことで、着任当初は違和感を覚えた。市民からは「市役所には他に人材がいないのか」という皮肉まじりの疑問の声も出た。井馬さんもやりづらかったろう▼井馬さんの仕事を、2年間外から見ていて感心したことが2つある。一つは、議会で議案を提案する時の説明が分かりやすいこと。とかく、難解なお役所用語で煙に巻くことが多い「提案説明」だが、井馬さんはお役所用語に立脚しながらも、さりげなく、そのポイントを解説するていねいさとサービス精神があった▼感心したことのもう一つは、積極的にまちに出ていたことだ。港まつり、グルメまつりなどのイベントで井馬さんは屋台を回り、食べ歩きに努めていた。まちおこしにも自らかかわり、落語家・柳家さん喬さんの紋別公演でも実行委の一人として裏方を務めた。郷に入っては郷に従えで、紋別に来た以上は溶け込もう、という現場主義の姿勢があった▼プロレスが好きな人で、記者とも酒席で何度かプロレス談義に花を咲かせた。「馬場の脳天唐竹割りはいかに危険極まりない技か」ということを大真面目に論証してみせる、洒落の分かる人だった▼井馬さんによって道庁のイメージが身近になった。なにより紋別市役所に新しい風を吹き込んだ。慕う部下も多かったと聞く。井馬さんがもたらした刺激を市は大切に受け止め、今後の組織改革に役立ててほしい。(桑原)