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デスク記事

2008/12/03

 歌手の加藤登紀子さんが「Now is the time」=今があしたと出逢う=という新曲を発表した。加藤さんはこう語っている。「この大きな空は、どんな小さな生き物でも見上げることが出来る。そのエネルギーはとてつもない可能性を秘めている。今、私達がこの地球の命を守り、救おうと決心しなければ、地球の生命が失われる。人間の責任は重いと思います」と▼この歌の中に、こんな歌詞がある。「人はこの世に生きる全ての命を愛せるただひとつのもの」「幾万年の歴史を走り続け、迷い、恐れもなく夢をただ追いかけた。欲望の果てに広がる、沈黙の叫び」。彼女は「人間は本来、豊かな自然の一員だったはずなのに、いつの間にか特別の生き物だと考え、自然を破壊することで、自身が知らず知らず壊れていっている」と語る▼そして歌の最後は「もしやり直せるなら違う明日があるはず。あなたはこの瞬間、気づいていますか」と訴えている。しかし地球の温暖化とか、いつの時代も続けてきた戦いとか、それらを愚かな行為と知りつつも、やり直す知恵を持てず、今日的な課題を解決できないでいる▼よく「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と言われる。こんな歌詞の歌が、かつて歌われたことはない。人類の罪に対して世界中が反省し、改善しようとしている。しかし、それを他に押しつけ、自ら後戻りする勇気を持ち合わせていない。これが人間の限界なのだろうか▼多くの国にとって、「今」が以前より困難な状況だったとしても、僅かでも快適さが残っていれば、それが次に続くと勝手に思い、恵まれていると考えている。それがいつまでも続くのかどうかを疑問に思っても、今を否定することは決してしない。やり直せる時は、もう去ったのかも知れない。