風紋記事
港まつりは、近年稀に見る最悪の天気で、入り込みも大きく落ち込んだ。天気ばかりはどうしようもない。流氷まつりもそうだが、屋外のイベントは天気という偶然性に左右されるところが難点である。だが偶然性とは何だろうか▼哲学者ヘーゲルは偶然性とは、自分ではない他者に依存することであり、不自由なあり方だと言う。港まつりも、自然(天候)という他者に依存している。この偶然性を克服した立場を必然性といい、他者に依存せず自立している段階である。そうなろうと決めたら、必ずそうなる境地である▼たとえば子どもは精神的にも経済的にも親に依存しているから偶然性の段階にあり、社会人になり自立すれば、もう親に左右されず自分で進むべき道を決めて行くから必然性の段階に高まっている。それは自身の判断で、やりたいことをやることだから自由という段階へとさらに上昇する▼港まつりも天気という偶然性を克服し、自立した立場を目指すべきだろう。例えば悪天候の場合の備えとして、屋内型の行事を一定程度用意しておくことも大切だ。今回、新企画の移動動物園が大好評だったというが、あの会場は屋内型の駐車場で、雨宿りの場所にもなっていた。雨を逆手にとって雨自体を楽しむ水遊びのようなイベントを代替として用意しておくのもいいかもしれない。まちなか芸術館多目的ホールの活用も考えられる▼まつりの関係者らは「来年はリベンジしたい」と話す。痛恨の雨となったが、それも次につながる試練だと思えばいい。来年への期待がまた大きくなった。(桑原)