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風紋記事

2014/09/05

 8月31日に行われた市制60周年の式典。厳粛な雰囲気の中に、ほのぼのした手づくり感があってよかった。次代を担う児童生徒が決意を述べたのもよかったし、高校生の司会も初々しかった。市民有志の実行委員会に委ねた「還暦パーティ」は開放感に満ちていた。ものまねライブは爆笑の渦で大いに盛り上がった。式典前の29日に行った記念クラシックコンサートは世界的な奏者を迎えただけに関係者らが「奇跡」と驚くほど大ホールが人で埋まった。義理で行ったという人も終演後は「ああ来て良かった」と感激した様子だった▼市役所のトイレで会った棚橋副市長に式典の感想を伝えたら「職員自らが楽しんで企画し動いてくれたのが何よりだった」と嬉しそうだった▼10年以上前、宮川市長がまだ市議だった頃、議会の一般質問でこう言った。「市の職員は、仲間の結婚式では生き生きと余興を演じているが、仕事であのヤル気が見えないのはなぜか」。議場からは笑いが起こった。なかなかツボを押さえた発言ではあった▼その後、宮川市議は市長になった。この間、特に人材育成に意を注いできたのだと思う。港まつりや盆踊りなどで市職員が自発的にユニークな活動を行うのも最近、目立ってきた▼式典のフィナーレ。「紋別の歌」の演奏で市長が指揮棒を持った。軽やかにタクトを振る市長の姿が、市職員や市民の志気を鼓舞するイメージと重なった。だがタクトは、深く重く内省する楽章へと楽団を導くことも必要だ。市長のタクトで今後、さらにスケールの大きな交響曲が奏でられることに期待したい。(桑原)