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風紋記事

2014/11/06

 中原淳という教育学者がそのホームページで「パネルディスカッションに面白いものなどない」という趣旨の文章を書いていた。パネルディスカッションとは、複数の発言者がステージに並び、あるテーマについて意見を述べ合うという形式の一種の講演会である。「これからの地域振興」とか「観光の可能性」とか、そんなざっくりとしたテーマが多い。紋別市でもちょくちょく開かれている。国や道など行政がからんでいるケースが目立つ▼記者として何度も取材しているが、総体的に退屈である。パネラーと呼ばれる発言者たちは、皆それなりの実績を持つ人たちだから、話自体はちゃんと内容があり、大変面白い人もいる。つまらないのは、ディスカッション(討論)という割には全然、ディスカスしないことだ。お互いが主張や事例を紹介するだけ。コーディネーターと称する司会者が、あたりさわりのない批評を述べて終わる▼中原氏によれば、パネルディスカッションの欠点は「この観点もいい。あの観点もいい。みんな違っていい」という姿勢にあるという。なるほど、行き過ぎた相対主義か。きちんと議論し合うことを避け、ただお互いを認め合い、尊重し合うのがいいことだとする。幼稚な世界平和主義みたいだ▼それにしてもパネルディスカッションは発言者が多い分、時間も長くだらだらと続くのが常で、聞かされる方も大変だ。会場を見ると、ほとんどが動員をかけられたとおぼしき関係者。皆イラついた顔をしていたりする。というわけで一回、考え直してみてはどうかパネルディスカッション。(桑原)