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デスク記事

2008/06/13

 我が家の庭の隅に菜園を設けた。と言っても花や庭木を移動して、ようやく確保した小さな空間だ。スコップで掘り起こし、クワなどでならし、肥料を混ぜてようやく種まき。説明書を見ながらの作業だが、種はどうしても多くまいてしまう。こんな小さな種だから、あまり芽が出てこないと思ったのが素人の悲しさ▼数日して変化が現れた。腰をいためながら作った畑。そこにツンツンと出始めた薄緑色の芽を見るのは、何と感動的なことか。ところが、多く出過ぎなのである。大根もニンジンも、まいた種が殆ど芽を出してしまい重なり合うように出てきてしまった▼説明書には「芽の出方を見ながら間引きするように」とある。しかし芽ひとつひとつが、懸命になって土をかきわけ地上に出てきたと思うと、ここで摘み取ってしまうのもしのびない。どこかに移植しようにも植える場所がない。種をまき過ぎたために、全部の生命を助けるにはかなりの畑が必要だ。誰か貰ってくれる人は居ないだろうか、鉢植えにして助けようかーなどいろいろ考えてしまう▼しかし不思議なものだ。袋に入っている時は、何の変化もなかった種が、土にまかれ、太陽と水を得た途端に生命は躍動し始めた。11日は激しい雨が降り、あわてて畑を見に行った。土が流されていないかどうか、芽は健在かどうか。そんな心配をよそに、芽は生き生きと空に向かっていた▼「大地に種をまき、植物を育てる」と行為は、人間が本能的に持っている事なのかも知れない。特に農耕民族と言われる日本人は、土と一緒に居ることは精神衛生上も良いのではないだろうか。それが、にわか仕立ての戯(たわむれ)れであっても、土を耕し種をまき、その結果の薄緑の芽を見ると、思わず目が細くなる。