風紋記事
紋別水泳協会の理事長・村谷護國さんは酒が好きで、一緒に飲めば最後にからまれることもあるが、それもまた楽しい。年齢的には大先輩だが、偉ぶるところがない。こういう人は居そうでいない。「面白い話があるんだわ。これから飲みに来ないか」と言われば駆けつけることにしている▼11日に行われた紋別水泳協会の40周年記念式典には、全道の水泳関係者らが集まり和気あいあいと交流した。酔いも回ってきた祝賀会の中盤に全道の水泳関係者、スポーツ関係者らがスピーチしたが、多くの人が村谷さんを持ち上げたり、落としたりしている。それだけ気のおけない存在なのだろう▼村谷さんは信念を貫く人でもある。市役所職員時代から、音楽を通したまちの活性化に取り組み、地域おこしイベントのオホーツクDOいなか博でも裏方で活躍した。退職後も、その精神を受け継ぎ、手弁当で「DOいなか音楽倶楽部」をつくった。平成19年から26年まで、大物アーチストをずらり揃えたオホーツクフォークまつりを開催した。今年は予算の関係で、できなかったが、それにめげず、みのや雅彦さんを招いて「ひとりフォークまつり」を開催したり、五十嵐浩晃さんのライブを行ったりして意地をみせた▼定年退職して久しいのに現役感を失わない。無風選挙にしてはならぬと市長選に出たこともあった。文化人類学でいうトリックスターというべきか。安定した秩序を揺さぶったり、意表をついたりして賛否両論を呼ぶ存在。善悪の物差しでは測れない矛盾に満ちている。だが矛盾こそは社会を動かす原動力である。(桑原)