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風紋記事

2015/11/29

 毎年11月の市議会決算審査特別委員会は、議場に隣接した委員会室で行う。広い部屋ではない。各部署の部課長、係長らがすし詰め状態で座り、委員(議員)からの質問に答える。パイプ椅子の傍聴席もあるが、委員会に属していない議員も聞きにくるので、ほぼ満杯である▼記者も空いている席に座らせてもらう。決算の資料はぶ厚い冊子が何冊もあるが、傍聴席に机はないから、記者は膝の上に資料を置いて、とっかえひっかえして見ながら、同時に質疑のやりとりをメモする。結構面倒くさい▼ところが、今回の決算委員会ではパイプ椅子の背に「記者席」と書かれた貼り紙があり、椅子の前には小机のような台が用意されていた。窮屈なのは相変わらずだが、台に資料を置けるだけでも随分と楽になった▼市の庶務課に聞くと、傍聴に来る議員から「自分たちの机がほしい」という要望があったので市で用意したが、ならばと記者席にも置いたのだという。ついでにやってくれたのかも知れないが、庶務課の気配りが嬉しい。傍聴者への配慮という点で、これはこれで立派な議会改革の一つである。そう考えると、すぐにできそうな改革はいっぱいある▼一般市民から「議場ってどこにある? 勝手に入っていいの?」と聞かれることがある。市役所2階の本会議場の入り口の目立つ場所に、たとえば「ご自由にお入り下さい」と立て看板の一つもあれば印象が違ってくる。議会改革といえば議員定数・報酬の削減ばかりが注目されるが、ちょっとした気配りで市民の議会に対する理解や共感は深まるはずだ。(桑原)