風紋記事
田舎者とはなんだろうか。「批判することを嫌がり、批判されるとムキになる人」だと思う。狭いムラ社会をよしとし、群れることを好むから自己主張をすることも、されることも嫌う。その分、陰口は得意だ▼田舎者は、批判と非難の区別がつかず、批判されると相手をうらむ。都会的な人は、人格を貶めるような非難はしないが、スマートで手厳しい批判を笑顔でできる▼東京で暮らしていた20代〜30代の頃、在野の哲学者・牧野紀之さんの私塾に通ったことがある。フリーターもいれば大学院生もいる。週1回の授業。哲学書の講読のほか、みんなで、それぞれの生き方や考え方を批判し合う時間があった。課題に基づいて、それぞれが書いてきた文章を合評するのである。「これはウソつきの文章だ。自分の見栄や体裁ばかり気にしている。なぜなら」などと皆、辛らつだ。自分は出版社に勤務していたから「書きぶりは手慣れている」と言われたが「平凡で個性がない。人柄そのままだ」とこっぴどくやられた。悔しいが当たっていた▼そう言った彼は、今でも大切な友の一人である。批判されると怒り出して「お前とはもう口をきかない」と言う人もたまにいた。ああ田舎者だな、と苦笑した。都会育ちの田舎者もいるし、田舎育ちの都会人もいるである▼紋別市議会は9・10日、一般質問を行う。市政方針を中心にした活発な議論に期待したい。市政を厳しくチェックする議会の存在意義を見せてほしい。批判を嫌がる田舎者の議会ではなく、市政に堂々とモノを言い、議論する都会人の議会であってほしいと思う。(桑原)