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若い女性が、鮮やかな色の、大き目のキャンドルを一本買っていた。自分だけのためか、恋人と幸せなクリスマスを過ごすためか。年配の女性が数本の花を買っていた。店員さんに「孫たちが来るの」と、嬉しそうに笑顔を浮かべていた。宝石売り場で若者が「プレゼントなんです」と、店員さんにあれこれ聞いていた。「もう少し安くても…」と、なかなか決まらない▼百年に一度の世界的不況≠ナ、世界の経済に急ブレーキがかかった。近代化への坂を上り続けてきた人類が、今度は坂を下り始めたのだ。経済環境の悪化の要因は、単に経済面だけでなく、地球の温暖化、水、食糧不足など、構造的な側面からももたらされている。日本政府は「3年以内に景気を好転させる」と言っているが、そんな安易な問題ではなく、人類にとっての上り坂は、もう訪れないかも知れない▼世界第一の経済大国アメリカは、その代表である自動車産業が崩壊の危機。日本でも、つい先日まで天文学的利益を誇っていた世界のトヨタが、急転して赤字転落である。国内の雇用環境は、かつてない混乱を迎え、この傾向はさらに長く続く危惧(きぐ)さえある▼世界は、行き着くところまで来てしまい、その先は、今まで辿ってきた道を戻るしかないのではないだろうか。しかし、繁栄の味を知ってしまった今の人類に、後戻りするための知恵と勇気が、果たしてあるのだろうか▼可憐な一本の花、香を放ちながら炎を立ち上げる美しいローソク、恋人の喜ぶ顔を思い浮かべ、小さくても心のこもったプレゼントをする人。どれも、質において、どんな豪華なプレゼントにも勝(まさ)る。これからの世の中は、本質こそ光り輝く。そういう時代を見つめるべきでないだろうか。