←前へ ↑一覧へ 次へ→

デスク記事

2009/01/07

 日本が国際社会の中で生き残る道は、高度な技術に裏打ちされた「モノ作り」にある・と言われている。全ての分野で日本の技術力は世界に誇るものがある・と言っても過言ではないが、航空機に関する限り、戦後の日本は米国などに取り残されてきたと思われてきた▼ところが、すでに世界を大きく引き離す、勝れた航空機が日本には存在する。それは救難水上飛行艇「US・2」で、昨年暮れ、神戸の海から初飛行に成功した。その性能が素晴らしい。それまで世界一を豪語していたカナダ、ロシアの救難・消防飛行艇に比べ、2倍近い重量と機体の大きさを持ち、消火用の積載水量も他を大きく引き離していながら、離着水距離は極端に短く、しかも高い波の外洋でも使用できる▼世界が驚嘆する高性能の救難飛行艇が誕生した秘密は、制作会社の「新明和工業」=神戸=が、阪神・淡路大震災の時、大型の消火飛行艇があれば火災を消し、一人でも多くの人命を救うことが出来た・と涙を流したことに始まる。つまり、人としての愛≠ェ発端だった▼この会社、前身は「川崎航空機」と言い、戦前から飛行艇や名機「紫電改」を制作してきた。その技術が脈々として伝わり、ついに世界を圧倒する素晴らしい飛行艇を完成させたのである。今後、森林火災や人命救助に活躍する平和貢献の航空機である▼モノ作り日本≠ヘ、ここにも現れている。日本人の緻密な頭脳とモノ作りにかける情熱は、世界をリードするもの。地球温暖化、環境対策など、人類的な課題が山積する時代、これらの分野で日本は大きな存在感を発揮するだろう。(このニュースはメディアで殆ど取り上げられていなかったけれど、この成功は大きな意義を持つものと考え、紹介しました)