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デスク記事

2009/01/14

 政府と民間企業が協力して、世界の水資源ビジネスに本腰を入れることになった。先行する「欧州水メジャー」に追いつき追い越せ≠目指し、国内の約30の商社などが「海外水循環システム協議会」を立ち上げ、政府や研究機関が支援するという▼北海道に生活する私達は、水が不足するという実感は今のところないが、世界では全人口の3分の2に当たる42億人が飲料水に困っている(世界水フォーラムの資料)。飲料水が不足しているのが12億人、衛生上問題がある水を使っている人口が約30億人という▼地球にある水資源のうち、淡水は1パーセントにも満たない。その殆どが工業、農業に使われ、残る僅かな資源を動植物が分け合っている。地球の温暖化などで、すでに水が事実上ない地域も、地球には広がっている▼特に東南アジアでは井戸水の水位が急速に下がり、涸れてしまったり、畑が干からびて、100メートル掘らなければ水が出ない所もある。私が訪れたインドネシアの中部では、井戸の底から僅かに得られる水は、雑巾を絞ったような悪臭さえ放っていた▼日本政府は国際貢献、途上国援助の観点からも、水支援に力を入れてゆく方針だが、この計画は是非強力に進めるべきだ。以降の世界は、水を求める歴史を歩み続けるだろう。工業・農業用水の確保は、生活飲料水の低下をもたらす。しかも世界は食糧難の時代に入るのだ▼増加を続ける世界の人口、相反する食糧と水不足。自己主張を繰り返し、民族紛争や戦争に発展している今の世界。愚かだとしか言いようがない。こんなことを繰り返していては、人類は確実に滅びる。人類は温暖化等自然現象に追われ、そして人間そのものに追われているのである。