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デスク記事

2009/01/16

 アメリカ・ロサンゼルスに住む知人が言う。「アメリカ人の生活スタイルは貯蓄より消費。今≠豊に生きる人生を送りたいから。しかし、今回の経済不況で、今までの人生観を変えなければならない。今のアメリカ人の多くは、歴史始まって以来の消費控えになっている」・と▼西海岸に住む私の友人は平均的なサラリーマンだが、立派な家とクルーザーを持っている。彼の家に招かれたとき、かなりの収入を得ていると思ったが、聞いてみるとそうでもない。何故こんな豪華な生活が出来るか聞いてみると、貯金はほとんどなく、全て銀行からの借金。一生かけて返済するという▼「先のことが心配でないのか」と聞けば「アメリカ全体が大きく変わらない限り、生活は大丈夫。反対に、少しばかりの蓄えがあっても、大きな変化があれば支えにはならない。それより大切なのは、消費することでアメリカ経済は動く。国民には、国を豊にする義務があるのだ」と胸を張る▼世界一の経済大国を支えたものは“世界の通貨・ドル”をアメリカが完全に支配し、大きく循環させたことによる。言わば地球バブル≠フ総元締めがアメリカだったと言えるだろう。それが今回揺らいだ。実質経済取引から遠く離れたサブプライムローンの破綻が引き金となり、世界経済恐慌が始まった▼アメリカ人はようやく、先の不安を感じ始めた。今までの楽観主義が無惨にも粉砕され、人生設計を見直す必要に迫られたのだ。「次の家に引っ越そうと思っていたが我慢する」「もう少し大きなクルーザーに変えようと考えたが、ブレーキがかかった」などの声が聞こえる。しかし消費の冷えは、さらに環境を悪化させる。アメリカは重病にかかったのかも知れない。