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デスク記事

2009/01/21

 愛媛県の阿南町に愛媛大学の水産研究センターがある。この大型水槽で、巨大なオニヒトデとマダイが共存している。海の嫌われ者と、魚の代名詞のようなタイ。奇妙な取り合わせだが、タイにとってはオニヒトデの分泌物がストレス軽減に役立っている・という仮説が立てられた▼タイは全てメスとして生まれ、成長するにつれてオスが発生する。ホルモンバランスの崩れでオス化し、身も薄く商品価値が下がる。従ってストレスを軽減すれば商品価値の高いメスを多く養殖できる・という研究が、同センターの三浦教授が中心になって行われているという▼昨年10月にノーベル化学賞を受賞したボストン大学の下村修名誉教授は、オワンクラゲを85万匹採取し、研究を続け医学研究に大きく貢献した。下村氏は「クラゲを追いかける日々でした」と、楽しそうにインタビューに応えていた。三浦教授もオニヒトデを追いかける日々を楽しんでいるのだろうか▼紋別は、世界三大漁場のオホーツク海に面した北海道沿岸のど真ん中に位置する。付加価値の高い、高級魚が豊富に漁獲できる。人類はすでに食糧難の時代に入り、オホーツク沿岸域での永続的な水産物の漁獲は、今後明確な形で求められて来るだろう▼以前、今の海上保安部裏に、網走水試紋別分室があった。主任研究員の佐々木氏は「スケソウ博士」とも呼ばれた。「こんなにありふれた魚なのに、その生態は謎だらけ」と、標識放流などで研究を続けていた。紋別は、水産物の漁獲だけでなく、研究の場としても最適なのだ。大学が無理なら、民間の研究機関が誕生してもいいのではないか。