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デスク記事

2009/01/22

 1960年、ジョン・フィッツジェラルド・ケネディーがアメリカ合衆国第35代大統領に当選した時、アメリカはソ連(当時)と冷戦の極にあった。核戦争に発展するキューバ危機の際、冷静に、しかし断固たる決意でソ連と対峙し、ソ連艦隊をUターンさせた若きリーダーは、国民から熱狂的な支持を得た。ニューフロンティア精神を掲げ、国民に国家への忠誠を呼びかけた、あの颯爽とした姿を忘れることは出来ない▼それから約半世紀を経て第44代大統領に就任したバラク・フセイン・オバマ氏。これ程就任が待たれ、期待された大統領は、ケネディー以来と言えよう。就任式の模様に、それが良く現れていた。アメリカは今、長期化する無謀なイラク戦争、深刻化する歴史的な景気後退でアメリカの凋落(ちょうらく)が始まった=Eとも言われている。その課題多き中で、オバマ新大統領はアメリカ国民の熱い視線と期待を一身に集めている▼この時期、よくぞ、これ程人の心を熱くする大統領が誕生したものだ。そのタイムリーさに、アメリカの強力なエネルギーを感じる。アメリカ国民は今、人種差別や政党、あらゆるマイナス面を越えて、新しいアメリカを作ろうとしている。オバマ大統領がその頂点に立ち、改革の意欲が国民間に急速に広がってきているのではないだろうか▼オバマ新大統領に世界の視線が集まり、その一挙手一投足が人類の未来を左右する。それを国民の爆発力が後押しする・という、そんな強烈さとスピードを感じる。経済危機のただ中に居るとはいえ、世界を左右するアメリカ。翻(ひるがえ)って我が日本の政治を見るとき、政治は世界も国民も見ずに、自己の政党だけを見つめている。大きさと小ささを、これ程までに見せつけられているのだ。