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デスク記事

2009/02/15

 アメリカ合衆国の新しい大統領・バラク・フセイン・オバマ氏の大統領就任演説(1月20日)から、もうすぐ1ヶ月になる。その時の就任演説を収録したDVD付きの本が発刊された。ツタヤ紋別店によると「大いに売れている」とのこと。就任演説のほかに2004年の民主党大会基調演説、2008年の指名受諾演説、大統領選挙の勝利宣言の全てが、英文と日本語翻訳で掲載されている▼DVDの映像を見ながら文章を追ってみると、オバマ大統領の新しいアメリカ合衆国を、国民全員の意志と勇気で建設してゆこう≠ニいう決意が、迫力をもって伝わってくる。百年に一度という世界不況、環境、イラク、アフガニスタン、中東問題の嵐のまっただ中に誕生した若きリーダー。世界の期待を担っての船出だ▼言葉は人に感動を与え、勇気を奮い起こさせる。オバマ氏の演説は、まさにそれだった。アメリカは今、世界の盟主として残れるかどうかの瀬戸際に立っている。その接点で、国民は希望の星をオバマ新大統領に見出し、結束しようとしている。それを可能にしたのが「言葉」なのだ▼口を開けばぶち壊しになってしまう日本の麻生総理とは、あまりにも異なる。雄大な理想を掲げたオバマ氏の演説。その目指すところは遠いかも知れないが、国民の心を一つにして、困難に立ち向かう颯爽としたリーダーの姿だ。アメリカ国民は、壮大な旅に出発したのだろう▼書店で演説集を購入する人の中には、英文とは縁の遠い人もいるという。それなのに何故この本が売れるのか。それは、今の時代にあまりにも感動が無いからではないか。人は、心を揺する言葉を、声を待っている。たったひと言の心に響く言葉。それが世界を変える力を持つのかもしれない。