デスク記事
民主党党首の小沢氏は、羽田最高顧問に「安政の大獄みたいだ」と言ったという。江戸幕府が、日米修好通商条約など諸政策に反対する武士達を弾圧した事件を安政の大獄という。比喩の仕方が少し違うのではないか。反幕府側の行動は、政策に対して起きた政治運動であり、かたや小沢氏側への疑惑は、政治資金規正法違反という法律違反に対してのことだ▼そしてこの国から「政治と金」の問題が途切れることはない。しかし当たり前と言えば当たり前のこと。政治家が清潔であれば起こらない問題≠ネどと、耳障りの良い言葉では解決できない。政治家が政治家として活動するためには、余程の資産家で、自分の金を政治に注ぎ込むことの出来る幸運な人でなければ、無理であろう▼一人の国会議員の必要経費は、最低5千万円とされている。それに対して支給される給料、政治資金は、必要経費を下回り、不足分は講演会、パーティー等で捻出しなければならない。議員が、国政報告や地域まわりなど、議員としての活動を行えば行うほど、資金不足になる。特に、自分の信念を国政に活かすために、発言力を強めようとすれば、またお金が必要だ。何もしなければ批判もされないが、選挙民からも見放される。実情が分からなくても、観念的に批判するのも一般有権者だ▼そこに、政治と金の暗部が生じる。小沢氏を始め、多くの政治家は自分個人のためには、決してお金を使っていない。今回、検察は小沢氏の元秘書の石川衆院議員の事情聴取を行うようだ。彼が秘書時代、何回か会い、話し合ったことがある。それこそ清潔で、国の将来を真剣に考る、透明な人物である。政治と金の不合理性の渦に巻かれているのも、政治家なのかもしれない。